今日も回り道

音楽グループの「空想委員会」とは何の関係もありません

LINEMOの話(2)

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 前回の記事については私としては冷静に書いているつもりだったが、どうも寝ぼけていたか頭に血が上っていたかしたところがあったようで、スマサポの解説動画に対して全くあらぬことを書いてしまっていた。素直に反省したいところである。

 

 とはいえ、おそらくLINEMOベストプランを肯定的に紹介するのは私がチャンネル登録している通信系YouTuber(※1)の中ではスマサポが唯一だろうという予測は全くの事実である。実際るるか氏とカオナシガジェット氏がさっそく語っておられるが、内容は概ね私の予想通りであった。特にカオナシガジェット氏による大阪市内の電波検証はまさに私の実感通りで、やはり混雑地域での高速通信にはソフトバンクの強みがある一方で、通信可能エリアという意味においてはソフトバンク楽天モバイルは相互互換ではないかと思う。また硝子磨テコさんもTwitterでコメントしておられるが、そちらの内容もやはり私の予想通りであった。

 

※1 スマサポ、カオナシガジェット、るるかチャンネル、テコのスマホ相談室

 

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 一方でスマサポがこれに肯定的評価を下すだろう、というのもまた私の予想通りであった。今回はなぜスマサポがLINEMOベストプランに肯定的なのか、ということを考えてみたい。

 

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 そこで思い出したのは、この↑povo2.0新トッピングの解説動画の中でLINEMOに言及されていたことである。ここで語られているのはオンライン専用プランを含めて顧客単価向上のため大容量プランを推進するようになった、ということで、LINEMOも100GB以上を投入してくるのではないかと予測する一方で3GBのミニプランは新規販売を本音で言えば停止したいのではないか、ということである。それも理解できる話であり、そしてこれを前提にすれば確かに3GB990円を維持し、元来需要が明らかにありながら不思議と(※2)空白地帯だった10GBを攻め、上限も30GBでやたらめったらな大容量プランとはしなかったLINEMOベストプランは確かに「ベストプラン」、という評価になるのかもしれない。

 

※2 スマサポの過去動画を見る限りでは、10GBではなく20GBがMNOの激戦地となってしまったのは菅内閣総務省の失策だったのではないかと思わざるを得ないところである

 

 確かに冷静に考えれば、10GBと20GBの差が僅か88円であるというのはLINEMOと楽天モバイルの比較であり、LINEMO相互間で比較すれば価格差は880円である。20GBで2970円はそこかしこで語られている通りahamoと全く同じであり、ahamo対抗としては悪くない料金設定だろう。

 とはいえ、私が思うのは「この市場にはどこまで需要があるのだろうか」ということである。既存3キャリアは(複雑な囲い込みと)実店舗に定評があるのであり、それが無いのであれば楽天モバイルMVNOと対等に比較されざるを得ない。ahamoは確かに好調であるようだが、それはドコモには元々UQモバイル・Y!モバイルの位置づけとなるプランがなく、だからこそ実店舗が完全に使えないわけではないようで、さらに海外ローミングが月20GBまで無料という唯一無二の存在意義もある。一方でLINEMOはソフトバンクショップは一切使うことができず、海外ローミングもない(注:追記参照)。私が前回の記事で楽天モバイルMVNOと比較したのはこのためであり、今ここで国内専用の”ahamo小盛り”的位置づけのプランをドコモ以外が出したところでどこまで選択されるだろうか……? と思わざるを得ない。私自身、通信品質とdアカウントさえ問題なければahamoと同額ならahamoを選択する。LINEMOの魅力はやはり3GB990円だが、それも4~10GBがこれだけ高いと考えるとソフトバンク回線で小容量ならマイネオ(マイそく)かニューロモバイル、日本通信b-mobile)を積極的に検討せざるを得ない。

 LINEMOはこうするくらいなら、むしろ3GB~30GBまで4段階の完全段階性にした方が良かったかもしれない。小容量なら楽天モバイルより僅かに安いが、使って行くとどんどん高くなっていくということである。それもそれでネガティブ意見も噴出しただろうが、少なくとも現状ではあまりに中途半端と言わざるを得ない。LINEスタンププレミアムが外されてしまったのも需要量という意味では大したことはないだろうが残念なポイントではあり、LYPプレミアムの導入、LINE経済圏の構築は早期に行って欲しいところである。

 

・安さだけが正義ではない

k-tai.watch.impress.co.jp

 LINEMOの強みは現状料金にしかないため、LINEMOの話はどうしても価格の安さの話になってしまうが、とはいえ安さだけが正義か、と言えばそんなことは全くない。前回の記事でもリンクを張ったケータイウォッチの記事で共感したのは、ソフトバンクは今後を見据えて投資をしていかなければならず、そのためにはそれなりの料金が必要である、という点である。寺尾洋幸専務執行役員の発言を引用する。

 

「通信というのは、長い年月をかけて世代を上げていかなければいけません。3Gから4G、5Gへ。そしてもう6Gの時代が目の前に来ていますけど、こういう継続的な投資ができる環境を作っていかなきゃいけないっていうのが大きなテーマだと思います。

 我々が儲けるとか儲けない以前に、日本の文化や経済が発展するうえで、通信が遅れてしまったら何も進まなくなると思います。

 そういう中でしっかり継続的にできるような体制を作っていくうえで、料金体系や3ブランドの位置付けを作っています。

 全体としてお客さまのニーズに応えることと、もうひとつ、我々が継続的な投資をできる体制を作っていくこと、この2つを意識した料金にしています」

 

 これは全くその通りである。正直西暦2020年の菅内閣の登場は日本の通信の未来という意味では最悪のタイミングではなかったかとも思うところで、これによりMNO各社は5Gへの投資を行いながら値下げを行うという曲芸を強いられたわけである。ドコモの通信品質劣化の話も結局は5Gが拡大せず、また端末分離で端末の挙動をコントロールできなくなったからであり、それは国の政策の失敗という側面が大きいように思う。もっとも一方で家計の負担力にも限界があり、またスマホは今や贅沢品ではなくどんな低所得者でも持たなければならない必需品になってしまったのもある意味厄介な話で、値下げにも必然性はあったことも事実であり、私もその恩恵を享受しているわけであるが、さりとて通信の未来とのバランスは考えていかなければならない。私は居住地や交通網と同じく、通信インフラに関しても今後は簡素化・縮小を図っていかなければならないと考えており、だからこそその先駆けとして楽天モバイルにはこれ以上の通信可能エリア拡大は衛星通信以外行わなくて良く、正直プラチナバンドも別に飛ばさなくて良いので、その分低料金を維持してほしいと思っている。ソフトバンクも5G SAはソフトバンク本ブランドのみの提供としY!モバイル・LINEMOの5GはNSAのみとしているようで、このような区別は歓迎したいところである。今後のスマホプランは通信品質に妥協して安いプランと最高の通信品質を求める贅沢品を選択できるようになっていけば良い。そのとき低料金プランの方の通信品質をどこまで求めるかは大きな課題だが、私は

高品質→どんな場所でも4K動画が見れる。既存3キャリア本ブランド(ドコモはエクシモ)が対応

中品質→平日昼12時台も動画が見れる。既存3キャリアサブブランドや楽天モバイル、高品質MVNO(マイネオ高速通信時等)が対応

低品質→音声通話とテキストメッセージ、QRコード決済ができ、必要な時に追加料金で高速化できる。povo2.0や低価格MVNOが対応

くらいの3段階とし、緊急通報は全回線とも確実にできるようにし、あとは行政手続き等のために公衆Wi-Fiスポットを行政が整備していくのが良いのではないか、と思うところである。その中で私は中~低価格・品質の回線を使い倒していくことになるだろう。LINEMOもLINE経済圏を引っ提げて中品質・中価格帯の競争に参戦して来るのならば、そのときこそ私もLINEMOを喜んで契約したい。

 

【追記】

https://www.linemo.jp/service/global_roaming/

LINEMOにも海外ローミング自体は存在することを失念していた。ただahamoとは違い、あくまでも別料金となる。