今日も回り道

音楽グループの「空想委員会」とは何の関係もありません

LINEMOの話

 第一種緊急行動事態宣言だとか何とか言っているが、結局何が言いたいかと言えば今後はより本格的に趣味に邁進していくという宣言に過ぎない。同時に私のウェブ活動の拠点はTwitterからこの公開ブログに移したいとも思っている。昨今通信系YouTuber諸氏へのコメントを行っているが、長文の意義を改めて感じざるを得なかった。140字では何も語れない。結局長文を書くしかないのである。

 

 さてLINEMOの話である。LINEMOはソフトバンクのオンライン専用プランであり、菅内閣での値下げ要請に応えるべく登場したものである。3GB990円、20GB2728円という価格設定はいわゆる「既存3キャリア」では最安値であり、これでソフトバンク回線をフルで使えることに意義のあるプランである。私はメインスマホのメイン電話番号をLINEMOミニプラン月3GBで契約しており、マイネオの「ゆずるね」達成用とソフトバンク回線の調査のために使っている。

 

↑実際のLINEMOとのトーク画面。リアルタイムでのスクショである。LINEの名を冠するスマホプランであるからLINEである程度のことができるわけである。

 

 LINEMOの最大のメリットは「シンプルで安い」ことである。料金も通信品質も複雑なことは何もない。割引は何もないが何もなくても旧来のスマホプランより圧倒的に安く(※1)、通信品質もソフトバンクの電波さえ繋がれば常時高速通信が可能である。MMD研究所の調べではLINEMOは「他人におすすめしたいスマホプラン」第1位にランクインしているようであり、私も格安SIMの入り口としては悪くないのではないかと思っている。

 

※1 ソフトバンク本ブランドとの比較。Y!モバイル比では最大割引適用時の20GBで比較するとY!モバイルの方が安い。またY!モバイルにはLYPプレミアム(月508円)が自動付帯しており、LINEMO20GBに付帯するLINEスタンププレミアム(月480円)より使い勝手が良いだろう。

 

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MMD研究所の西暦2023年9月の調査によれば、LINEMOは総合満足度ではahamo(ドコモのオンライン専用プラン)に次ぐ2位であり、NSP(顧客推奨度)では実に第1位となっている。

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↑調査に基づくスマサポの動画

 

 ただ上記の調査にも現れているが、実際の契約者数においてLINEMOはどうも好調という話を聞かない。結局人気なのは複雑な囲い込みプランなのだ。かく言う私は複雑な囲い込みは拒絶するものであるが、とはいえ経済圏との相乗性や使い方に工夫の余地がある面白さなどの個性あるスマホプランを好んでおり、そうした観点で見るとLINEMOのシンプルさは「面白くない」という印象をぬぐい切れず、現有4回線(※2)の中で唯一乗り換えたいと思っているのも事実である(※3)。

 

※2 LINEMOミニプラン3GB、マイネオAプランマイピタデュアル20GB、楽天モバイル最強プラン、povo2.0。固定回線を使っておらずPCもすべてテザリングであるため大容量・無制限プランを主体としている。またドコモ回線は昨今の通信品質の評判の悪化のためあえて避けた構成となっているが、povoを全く使っていないためyuモバイルにMNPして4社回線をすべて取り揃え、U-NEXT共々使おうかとも考えている。ただこれはあくまでも電話番号の有効活用策であり、povo自体は改めて新規契約してでも維持しようと思っている。

※3 乗り換え先の最有力候補は楽天モバイル。現有回線と2回線になってしまうが、こちらは楽天リンクでのかけ放題とマイネオの補完としての3GBまでのデータ通信を担当させる。結局小容量も無制限も私には楽天モバイルが一番合っているのである。

 

 これはLINE系サービス全般に言えることだが、どうもLINEは商売が下手であるように思う。メッセージアプリとしてのシェアは圧倒的だが、そこを起点にして経済圏を構築することが全くできていない。代表的なのがLINEPayの複雑さで、コード決済で5%還元のLINEPayクレジットカード(P+)とVISAのタッチ決済で3%還元のVISALINEPayプリペイドカードが同じLINEPayの中に何一つ接点のないままに併存しており、しかも両カードとも特徴はと言えばただLINEポイントが高還元なだけであり、他のLINE系サービスとの相乗効果は何もない。そうして付与されるLINEポイントも結局PayPayポイントに交換するしかなく、同じLINEの名を冠するLINEマンガで使う場合も直接マンガコインに交換するのではなく一旦PayPayにチャージした後GooglePlayストア(※4)でPayPay決済した方がポイントが多く付与されるという体たらくである。LINE系サービスではLINEマンガは電子書籍ストアとしてかなりの規模を持っており、LINEPayもPayPayより歴史の古いコード決済のパイオニアであるはずであり、LINEポイントANAマイラー等から重宝された過去があるはずだが、本業のメッセージアプリ同様単体ではそれなりの利用者を獲得できていても相乗効果を発揮させることがさっぱりできないのだ。

 

※4 私は宗教上の理由によりiPhoneを持つことができないため、私の記事ではスマホAndroidが前提となる。

 

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↑VISALINEPayプリペイドカードを解説する現金いらずさんの動画。「もうそういうカルチャーなんだと思っている」とは全く仰る通り。

 

 そしてそれはLINEMOも例外ではない。LINEMOは価格以外での特徴は「LINEカウントフリー」(※5)があり、また20GBのスマホプランではLINEスタンププレミアムも付帯しているが、LINEカウントフリーについてはそもそもLINEのメッセージは容量を圧迫するようなものではなく、LINEスタンププレミアムも好んで使う人はそこまで多くないのではないかと思われ、結局は価格以外にセールスポイントが無い。そしてその価格もあくまで「既存3キャリアの中では一番安い」という程度に留まっており、楽天モバイルMVNOに目を向ければもっと安いプランはいくらでもあるのが現状である。通信品質も楽天モバイルやマイネオAプランでも私が使っている限りにおいては十二分に実用に耐えうるものであり、平日昼12時台でも動画が見れるのは確かにMNO直契約のメリットではあるが、それとて楽天モバイルで十分である。ネットの評判を見る限りではソフトバンク回線は大都市部の混雑地域では最高の通信品質であるという話をよく見るのだが、私が名古屋市内で使っている限りにおいては楽天モバイルと比較してもそこまで電波が強いようにも思えず、名古屋市営地下鉄名城線黒川駅のホームでLINEMOのみ圏外になってしまったときは開いた口が塞がらなかった。現有回線の中では高品質なのはau回線であり、ソフトバンク楽天モバイルは相互互換くらいではないかと思う。そして結局相互互換であるのならば、小容量から無制限まで対応し楽天リンクで電話かけ放題の楽天モバイルの方が良いのではないかと思えてならないのである。

 もっとも楽天モバイルの弱点の1つはストッパー機能がないことであり、月3GB・20GBで止めるには警戒を要するため、その意味では確実に月3GB・20GBで低速通信に切り替わるLINEMOは安心できる存在ではあった。povo2.0の3GB30日間990円トッピング及び20GB30日間2700円トッピングも31日ある月では1日ずれてしまうため、確実に毎月3GB又は20GBの定容量で高速通信可能なプランという意味ではLINEMOには唯一無二の存在意義があったのも事実である。

 

※5 LINEのメッセージの送受信でのデータ通信は毎月の通信容量の中でカウントせず完全使い放題とするサービス

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名城線黒川駅はバスターミナルも併設された北区の代表駅であり、ソフトバンクユーザーの利用もかなりあるはずだが……あくまで基地局の工事等の一時的なものだったのだろうか?

 

 あった、と過去形で書いてしまったが、そのわずかなメリットもついに過去のものとなる日が来てしまった。それが西暦2023年6月6日に行われた「LINEMOベストプラン」の発表を聞いての、私の率直な感想である。

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 LINEMOベストプランはMNOとしては空白地帯であった10GB・30GBを攻めるプランとしたことは評価したいが、とはいえMNOの空白地帯というのはMVNOがニッチ需要を取り込むべく攻めに攻めている激戦地でもあるわけである。10GBの最安値は私が知る限りIIJmioデータeSIMの1100円であり、付帯サービスが欲しければ日本通信合理的みんなのプランがかけ放題込みで1390円、yuモバイルがU-NEXT(定価2189円)込みで2970円である。

www.iijmio.jp

www.nihontsushin.com

www.yumobile.jp

 それに対してLINEMOベストプランの10GBは実に2090円である。楽天モバイル20GBとの料金差はたったの88円であり、そしてその88円を惜しまなければマイネオならばマイピタデュアル20GBが契約できパケ増し・深夜フリー・パケット放題プラスで実質無制限で使えるし、日本通信ならばかけ放題込みで30GBを使うことができる。しかもマイネオならば電波自体は同じソフトバンク回線を選択できるのである。つまりMVNOを視野に入れれば、LINEMO10GBとほぼ同じ値段でLINEMOの最大容量となる30GBを使うことができるのである。

 

mineo.jp

↑マイネオの特徴はマイそく以外はどのプランを選んでも結局2000円くらいにはなることだが、その代わり2000円前後でかなりの大容量を使うことができる。また回線はドコモ・auソフトバンクの3社から選ぶことができる

 

 それでも旧プランも継続するかストッパー機能があるかすれば救いもあったが、どちらも無いようである。結局楽天モバイルと同じ弱点を抱えることになるわけであり、ならば楽天モバイルの方が良いだろう。そもそもLINEMO10GBと楽天モバイル20GBの差額88円というのも割引を無視すればの話であり、楽天モバイルの家族割(月110円)を適用させるだけであっさりと逆転してしまうのである。もはやLINEMOには何のメリットがあるのだろう。

 

 実際ネットの評判を見ていると、既存3キャリアしか視野に入っていないか楽天モバイルMVNOまで視野に入っているかで評価が180度違う。結局LINEMOも楽天モバイルMVNOに対抗するプランではなく、あくまで既存3キャリアの中で勝負するプランだということだろう。そして既存3キャリアに残っている人々はつまり実店舗の利用や複雑な囲い込みに意義を見出している人々なわけであるから、オンライン完結でシンプルなLINEMOには来るのだろうか? むしろその人々が来なかったからLINEMOは現状程度に甘んじているのではないのか? ドコモのahamoは結構な契約者数になっているようであるし、KDDIのpovo1.0も僅か半年でそこそこの契約者数は獲得できた様子であるから、そこそこの需要があるのだとは思いたいところではあるが、ただ正直これがテコ入れになるかどうかはかなり微妙ではないかと思うところである。むしろ楽天モバイルMVNOとの価格差が際立ってしまったように思う。

 

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↑私の認識はるるか氏に近いものである。「使わなかった月は」って元々3GBで足りるからミニプランを契約しているのだが……。

 

 とはいえ、既存3キャリアの中ではシンプルで安いのは紛れもなく事実であり、私も少なくとも一度はLINEMOを契約した者として、また元国鉄という経歴を持つソフトバンクの発展を願う気持ちも多少はある鉄道趣味者の端くれとして(※6)、格安SIMの入り口的な意味も込めてLINEMOには今後とも一定の存在感を持つ存在ではあり続けてほしいところである。今回の発表で唯一救いだったのはLINEMOへのLYPプレミアム導入の方向性が示されたことで、未だ成しえていない「LINE経済圏」を今度こそ成功させてほしいところである。LINEMOの従来のコンセプトとは矛盾するが、顧客満足度の向上に資するのは安さだけではないはずであり、LINEMOはLINEの名を冠するスマホプランとしてLINE系サービスとの相乗効果が評価され契約者数を伸ばす存在になってほしい。そうなれば私も、今度こそLINEMOを喜んで契約するかもしれない。

 

※6 ただその気持ちは今回の発表でほとんど吹き飛んだのも事実である。今のところ既存3キャリアの中では回線が確かに高品質で金融バンドルプランも唯一良心的、源流の1つに道路公団を持ち今でもトヨタが出資しているKDDIに最も好印象を抱いている

 

参考記事:

k-tai.watch.impress.co.jp

 3ブランドでバランスを取りながらというのも、結局は社内事情でしかないのだけどな……元々はソフトバンクしかなかったわけで。

 

【お断り】LINEMOベストプランに対するスマサポの動画への評価について、後から読み返したところ著しい事実誤認であると判断せざるを得ない箇所があったため削除しました。